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流山児★事務所2004夏公演

かみかけて さんごたいせつ

盟 三五大切

撮影:アライテツヤ

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[原作]鶴屋南北 [脚本]山元清多 [演出]流山児祥 [音楽]本田実

[出演]伊藤弘子 青木砂織 木内尚 沖田乱

小森谷環 上田和弘 甲津拓平 イワヲ 畝部七歩 小林七緒

里美和彦 矢野裕美 冨澤力 倉持健吾 本田実 流山児祥

公演概要

鶴屋南北の歌舞伎世界を180年の時を超え「戦争の時代」の今、全世界に向けて発信。勧善懲悪のまやかしと運命の悲劇をあざ笑い、あっけらかんとしていて乾いている。ギラギラしていて、やりきれない。金が狂わす、男女の運命。「討ち入り」という大儀のために人を騙し殺し合う。流山児版もう一つの忠臣蔵。人間の生の姿を描く『盟三五大切』は悪とエロスと笑いに満ちた、まぎれもない「現代戯曲」である。

あらすじ

浪人・薩摩源五兵衛は、実は赤穂浪士の一人の不破数右衛門。亡君のの仇討ちに加わるためには自分が警護していて盗まれた御用金を弁償しなければならない。ところが芸者・小万に入れあげてその日暮らしの金にも困っている。
 小万が芸者になったのは情夫・三五郎のためであった。三五郎は勘当の身で、父親がいるという金をつくって、勘当を解いてもらう腹だが、百両ともなると難しい。そこで彼は、源五兵衛からもっと金を搾り取れと、小万をたき付ける。
 金に困っている源五兵衛は家財道具まで売り払う始末。見かねた叔父、助右衛門から百両を受け取った源五兵衛だが、三五郎にそそのかされまた、小万のもとへ出かけてしまう。三五郎は小万とひと芝居組んで、まんまと源五兵衛から百両を巻き上げる。騙されたと知った源五兵衛は小万と三五郎を斬るつもりだったが、2人は取り逃がし誤って仲間の5人を斬り殺してしまう。
そして……。

 


東京公演

7月22日(木)〜26日(月)ベニサンピット

22日(木)     19時
23日(金)     19時 アフタートークあり(ゲスト篠井英介)
24日(土)14時 & 19時
25日(日)14時
26日(月)     19時

前売り3300円、当日3500円、学生2500円(日時指定・全席自由)
前売取扱:チケットぴあ ローソンチケット イープラス
前売予約・問合せ:流山児★事務所 TEL03-5272-1785
前売開始:6月22日(火)


九州ツアー

7月30日(金) 18時30分開演 大口文化会館
8月 3日(火) 19時開演 三股町立文化会館
8月 4日(水) 19時開演 熊本市産業文化会館 
8月 6日(金) 19時開演 荒尾総合文化センター

 

「遊ぶ」ワークショップへようこそ 
8月1日(日) 10時〜17時 大口文化会館

※希望者は大口文化会館TEL 0995 (22) 6320まで気軽にお電話を。 参加費無料

流山児★事務所の役者たちとワークショップで遊びましょう。私たちのワークショップは演劇を「教える」ものではありません。皆さんと一緒に「体験&感動&発見」する時間を楽しむためのものです。老若男女を問いません。どうぞ身軽な服装と気軽な心構えで演劇を「遊び」に来てください。コワもての男優陣と優しい女優陣がお待ちしております。


劇評

『盟三五大切』は、文政八年(1825年)、九月に江戸・中村座で初演された。作者は『東海道四谷怪談』で有名な四世鶴屋南北。南北は社会の底辺にうごめく町人たちの生活を描き歌舞伎の世界でその名を確立した。本作品は『忠臣蔵』の赤穂浪士として有名な不破数右衛門を主人公に、実際にあった五人殺しの事件を織り交ぜて描く悪人たちの物語である。[世界の残酷さ]と[人間の欲望]の中に社会の真の姿を浮き彫りにする。

歌舞伎では凄惨な殺し場が一つの見せ場なのだが、流山児演出では、劇中の人間関係を浮かび上がらせることに重点が置かれる。それは、「討ち入り」という大義と個人の情の間でもがく人間の姿である。大義のためには、人を騙し、殺しても許されるのか。大義の実現の裏には、いかに多くの犠牲があるのか。歌舞伎、現代演劇の双方で『盟三五大切』を観てきたが、今回ほど劇構造がよく理解できたことはなかった。 

(雑誌「まなぶ」 瀬戸宏 2003年2月号)


赤穂浪士の一人、不破数右衛門を主人公に金と色の因果が渦巻く世界を描いた鶴屋南北の歌舞伎を極彩色の音楽劇に仕立て、すばらしい悪の華を舞台に咲かせた。  

(朝日新聞 今村修 2002.12.27)


鶴屋南北の歌舞伎を「現在(いま)の演劇」として再構築し徹底して悪の美学を描いた舞台。残酷な悪の奥に人間の本質が透けて見えた。  

(日刊スポーツ 梶繁男 2002.12.10)


流山児演出の鶴屋南北『盟三五大切』は現代語であるのがいい。その結果、この複雑なドラマの構造が、今まで上演されたどの舞台(歌舞伎も含めて)よりも明快になった。スピーディな展開が、誰にでもわかりやすく、しかも衝撃力を強めて爽快である。見ていて私は南北が意外にも近代的なバランス感覚をもっていたこと、そして百両の金の変転を合理的に措いてきわどい綱渡りを演じて、ほとんどナルシスティックな会心の笑みをうかべているような気がした。 あのスピード感と戯曲の明快さは、多くの『盟三五大切』が学ぶべきであろう。  

(雑誌「テアトロ」 渡辺保 2003年2月号)