30日の製作発表を行ったあと、出演者たちの初顔合わせが
センチュリーハイット東京の一室で行われた。
顔合わせは終始なごやかなムードで行われ、最後に
全員で「観に来てください」という
ローカル局向けのメッセージ撮影も行った。
前列(座っている)は左から
音楽の本田実、演出の流山児祥、南野陽子、榎木孝明、塩野谷正幸、小川輝晃
後列(立っている)は左から
木村健三、稲増文、谷宗和、井沢希旨子、若杉宏二、水内清光、青木砂織、中谷政雄、末宗慎吾、石橋祐
※外波山文明だけ都合で参加できなかった
【解説】
『ピカレスク南北』『ピカレスク黙阿弥』(共に作:山元清多、演出:流山児祥、主演:榎木孝明)に続く山元清多+流山児祥+榎木孝明のトリオによるエンターテイメント演劇の最新作。今回はヒロインに南野陽子を迎える。以前より小劇場に興味を抱いていた彼女が、二人の男を愛する女として彼女の個性と魅力をいかんなく発揮する舞台になるでしょう。
【物語】
現実の舞台と芝居の舞台が交錯する。
時は西南戦争末日の数日前。所は鹿児島・城山の洞窟。
明治政府を打破すべく威風堂々と鹿児島を発した薩摩軍は、田原坂で政府軍に決定的な敗北を喫して敗走、鹿児島に戻った。西郷隆盛とともに、城山の洞窟に立てこもる敗残の薩摩軍はわずか370名。圧倒的大部隊の政府軍が、その包囲網をじりじりと縮めてくる。
ふりそそぐ砲弾と硝煙をかいくぐって、決死の斬り込みを敢行する薩軍の隊長・桐野利秋。またの名を中村半次郎、そしてまたの名を<人斬り半次郎>と恐れられた幕末の刺客。
政府軍総攻撃の前夜、洞窟の闇のなかで熱に浮かされる半次郎は錯乱と悪夢の中で、時間が勤皇と佐幕、攘夷と開国が入り乱れ、裏切りとテロルが横行する京洛の巷へと逆流し錯綜する。
半次郎と幼なじみの英助。かつては志を同じくしながらも、逆賊と官軍隊長として再会する二人。そして、二人を愛した女おたみ。三人の愛憎を軸に、、幕末の有名無名志士たちの熱血を交錯させながら、西南戦争から逆照射されるもうひとつの幕末史。彼らの苦悩と葛藤を描くチャンバラ青春群像劇。もうひとつの<夜明け前>。
中村半次郎(後の桐野利秋)1838〜1877
幕末には「人斬り半次郎」として剣名を轟かせた薩摩示源流剣士。 薩摩藩士中村兼秋の三男として薩摩鹿児島郡吉野村に生まれる。剣の技を鍛え、示現流の名手となる。文久2年(1862)上洛。西郷吉之助に見出され、国事に奔走、他藩の志士たちと交わった。しかし「人斬り半次郎」の裏の異名をもち、京都で数多くの人斬りを行う。戊辰戦争の会津若松城攻めでは軍監として名将ぶりを発揮。維新後は日本陸軍の初代陸軍少将となり新政府の近衛兵団を率いる。しかし、西郷隆盛が明治6年の政変で下野すると、共に薩摩に兵団を伴って引き上げた。西南戦争で西郷軍指揮官として戦い、城山で戦死した。