「劇場はパラダイス」 流山児祥
前代未聞の「演劇の冒険」として始まった平均年齢80歳の高齢者劇団=パラダイス一座は2009年2月下北沢本多劇場で『続々オールド・バンチ〜カルメン戦場に帰る〜』を上演し3年間の活動を終えた。パラダイス一座は、シニアによる演劇のアモルフな反乱=自由の「解放区」を日本中に生み出す?という演劇の持つ《自由さ》を指し示した。2006年、90歳の日本演劇界の最長老の演出家:戌井市郎を筆頭に瓜生正美、岩淵達治、観世榮夫、中村哮夫、本多一夫、肝付兼太の「七人の侍(俳優)」と、舞台美術:妹尾河童、音楽:高橋悠治が結集したパラダイス一座旗揚げ公演。宣伝写真は、世界のアラーキー:荒木経惟という最強の布陣となった。
パラダイス一座という集団名と『オールド・バンチ』というモノガタリをわたしと一緒に考えたのは、敬愛する黒テントの劇作家(アニキ):山元清多であった。第2弾はこれまた敬愛するB級遊撃隊の劇作家(オトウト):佃くん。彼が元さんのバトンを受けて「伝説の殺し屋たち」のモノガタリ『続オールド・バンチ〜復讐のヒットパレード!〜』を書上げてくれた。ファイナルはふたたび、元さんにバトンタッチ。最終作は、奇想天外、驚愕のオカマの戦友たちのビルマへの帰還を描くアクション大作であった。不動のメンバーに新加入が3人、作・演出家のふじたあさや、俳優の二瓶鮫一、音楽は林光という超豪華な顔ぶれ。本多劇場公演は連日超満員御礼のカンドーのファイナルであった。
ところが、解散後半年もたたないうちに、座長の戌井さんが、もう一度『オールド・バンチ』をザ・スズナリで公演しようよ、と言い出した。2011年のクリスマス、95歳の「新鋭俳優」として戌井さんは舞台に立ちたかったのだ。勿論、他のメンバーも一度限りの「特別公演」に賛成した。脚本はもちろん、元さん。が、2010年、山元清多、戌井市郎の両氏が相次いで彼岸(あっち)へと旅立った。
こうなりゃ、やるしかない!観世榮夫、山元清多、戌井市郎メモリアル公演! 佃典彦・山元清多:共同脚本『オールド・バンチ〜男たちの挽歌・完結篇〜』
ヒロインに赤座美代子さんを迎え!不良ジジイどものモノガタリの「完結篇」!派手にぶちかまします。もちろん、観世さん、戌井さんともども此岸(こっち)へ戻って「映像出演」してもらうパラダイス一座オールキャスト公演。名曲「青い山脈」大合唱付きです。演劇は誰もが一生、遊び戯れられるモノ。劇場はパラダイス。下北沢でお待ちしています。