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海外秀作戯曲連続上演2003〜2004

ガラスの動物園

撮影:アライテツヤ

作:テネシー・ウィリアムズ  訳:鳴海四郎

台本・演出:松本祐子(文学座)  美術:朝倉摂

[出演] 李麗仙、若杉宏二、青木砂織、粟野史浩(文学座)

1月30日(金)〜2月11日(水) ベニサン・ピット

前売予約4,200円 当日4,500円 学生割引3,000円  【全席指定】  前売開始12月14日(日)


1月〜2月 30

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開演

昼の回(14:00)

 

           
夜の回(19:00)        

★31日(土)昼の回、4日(水)昼の回終演後アフタートークあり。

解説
2003年10月より2004年3月まで流山児★事務所は初の試みとして、『結婚★五つのアリア』『ハイ・ライフ』『ガラスの動物園』『イエロー・フィーバー』と4本のアメリカ&カナダの秀作戯曲を連続上演します(芸術監督:流山児祥)。

第3弾は文学座の気鋭演出家・松本祐子が演出を手掛ける『ガラスの動物園』。主演のアマンダ役は李麗仙が演じます。彼女にとって20年来の念願の役で満を持しての登場です。娘のローラ役には青木砂織、息子のトムには若杉宏二と流山児★事務所の二大スタアが挑みます。そして、トムの友人ジムは文学座の新鋭・粟野史浩が演じます。

1944年にテネシー・ウィリアムズが31歳のときに書いた『ガラスの動物園』。この作品で彼は一躍アメリカ演劇界でもっとも有望な劇作家として認められた。日本での初演は5年後の1949年で、ピカデリー劇場で、北村喜八の訳・演出で行われた。

この作品はよく作家の自伝的要素が強いと言われている。しかし、テネシー・ウィリアムズは単に実生活を回想するだけでなく、詩的創造力を加えて普遍的な作品に仕上げている。それは母アマンダ、姉ローラ、弟トムの関係が、母と娘と息子の<家族の原風景>としての基盤を備えているからである。

『ガラスの動物園』が今日の日本でも未だ新鮮な感動を与える理由は、家族の普遍性の追求だからではないだろうか。核家族化して少年犯罪が多発する現在、<家族の原風景>を如何に描くかが<戦争の時代>の今、演劇に問われています。

「たった一作で“センチメンタリズム=叙情性”をアメリカ演劇史上の高みまで引き上げた」と評された本作品のテーマは「不適合者たちのロマンス」であり、人間の魂の在り処を描くドラマである。ご期待ください

あらすじ
世界大恐慌時代。1930年代アメリカ中部の大都市・セントルイスの裏町の寂れたアパート。生活に疲れ果て昔の夢を追い求める母親アマンダ(李麗仙)。足が悪く非常に内気で婚期を逃してしまった姉ローラ(青木砂織)。青年らしい夢と惨めな現実に追われて家出する弟トム(若杉宏二)。

父が去った貧しい家の中で、母と姉弟の三人は厳しい現実生活から逃れるように追憶と幻想と夢に生きている。そんな三人のもとに、トムの友人・ジム(粟野史浩)が食事に招かれる。アマンダはジムをローラの結婚相手と思ったりするが、その望みも、家族も、もろくも崩れ去っていく……。

【演出・松本祐子よりのメッセージ】
「ガラスの動物園」の原題The Glass MenagerieのMenagerieを辞書で引くと、見世物用の動物を飼っている所、そして風変わりな人々と書いてあります。その風変わりな人々を演じるのは李麗仙、若杉宏二、青木砂織、粟野史浩。いずれも劣らぬ個性的なメンバーですが、特に李麗仙さんは私の若き日のアイドルでもありました。

テントの中で初めて彼女を見た私は、その立ち姿に感電したのです。その李さんが愚かで愛すべき母親像のひとつのイコンとも言えるアマンダに挑戦します。もちろん私にとって、若き日の畏敬の対象を演出することも、「ガラスの動物園」という難物を演出することも大変な挑戦です。

アマンダは今でもここでもない遠い時空に必死にしがみついている女と作者に指定されています。けれどわれらは昨日の陰に引きずられる事なく、ガラスのように脆く美しくもありながら、グロテスクで笑っちゃうほど風変わりなダメ人間たちの生き様を描いていきたいと思っています。