今回のゲストは「小林あや」さんです。シムシムが都合によりお休みの為、研究生のイワヲ&七緒が代わりにインタビューします。(留守番ですね。)
七緒:まずは自己紹介からお願いします。
あや:小林あやですっ。流山児★事務所に入って2月で7年たちました。いつの間にやら7年……。 あ、このメンバー、劇団「小林」だ! 今回は劇団「小林」がお送りします。(笑)
(注:劇団「小林」というのは、流山児★事務所にたまたま小林が、小林あや、小林イワヲ、小林七緒と3人いたことから、劇団をつくろう、と盛り上がっている架空のものである。)
あや:今、小林さん募集中です。各劇団の小林さん、これを見たら是非ご連絡下さい。(笑)
『深海魚』では、あ、みんな月組だぁ
七緒:それでは、4月公演の『深海魚』の話をうかがいましょう。
あや:はい。4/3(土)〜12(月)、私たちの稽古場Space早稲田で本公演があります。『深海魚』というタイトルで、岸田戯曲賞作家の深津篤史さん作、北村寿子さん演出です。日高恵さん一人だけゲストであとは事務所のメンバーでやります。流山児さんも今回は役者で出てます。ちょっと変わったお芝居でね、みんなでゲームしたりとかの稽古をしてます。
七緒:ダブルキャストなんですよ。
あや:そう。月組、星組に分かれてて、ここにいるのは……あっ3人とも月組だっ!
イワヲ:あやさん、今、気づいたんですか?
七緒:おいおい……。両チームのカラーが全然違ってて面白いですよね。
あや:そうそう。半券をお持ちの方は1000円でもう片方も見られますので、是非両方みて下さいね。
イワヲ:今回、座長の流山児さんも出てますけど、一緒にやってどうですか?
あや:楽しいですね。一緒にできる機会は少ないですし、やっぱり座長だけあって稽古の時間を活性化してくれるんですよね。
イワヲ:いつもは役者vs演出家、役者vsぷろでゅーさーですからね。
あや:そういう意味で貴重な時間ですね。しかも自分たちの稽古場で流山児さんや大先輩の魚さんと関われるというのは楽しいことですね。『カレー屋の女』の時もそうだったけど、今回は特に自分たちの稽古場でっていうのもあるし。
イワヲ:稽古場っていうのは一味ちがいますか?
あや:ここで芝居をつくるっていうのが、本多劇場やシアタートラムやジャンジャンや色々な所でやる時も原点だから。まず、ここで本読みして、稽古して、劇場に持っていく、というはじまりの場所だし。
七緒:そういう場所にお客さんが入るという。
あや:うん。お客さんが入るとね、また違う空間になるから。それがすごく面白い。こうやって飲んでたり(今セットづくりが終わったところで、みんなで飲んでるところです)セットつくったりする自分たちの稽古場で、公演をやるというのはいいですね。私が事務所に入りたての頃は、稽古場なくて、カセットデッキ持ってあちこち行ったりね。
はじめの頃は痩せましたねえ
七緒:あ、あやさんが事務所に入りたての頃ってどんなだったんですか?
あや:最初ねー。私は舞台部でね、何もわからずに本多劇場で裏についたのが最初ですね。
イワヲ:その時は大きな失敗とかありました?
あや:塩野谷さんがドラム缶の風呂に入ってるシーンで、まわりの殺陣で塩野谷さんが次にはくはずのズボンが無くなっちゃったの。そしたら流山児さんがソデにとんできて、「これを使え」って自分のズボンを脱ごうとしたのね。(イワヲ・七緒 大爆笑)私はその時はそういうもんかと思ったんだけど、今思うと変だよね。でも、その時の舞監のムーチョさん(北村さん)に出会えたっていうのはすごく大事なことだったな、と思います。
イワヲ:演出助手もやってますよね。
あや:そうです。『ピカレスク南北』の時かな。でも舞監助手が多かったです。なんだか一人でいっぱいかかえこんじゃって一ヶ月で5kgやせたりとか。
七緒:え、5kg?(目がマジになる)じゃ次一緒にいっぱい仕事してやせましょうか。(笑)
あや:何でやねん。
イワヲ:あの、スタッフワークはダイエットじゃありませんから。
七緒:あやさんの初舞台は?
あや:『アトミックストーム』ですね。佃さんの作品で、うちでの初演です。原発の話なんですが、「ミス原発」の美浜代表という役でした。その時は水着でサングラスしてムチ持ってました。セリフは一コだったんだけど、そのセリフを原稿用紙一枚分自分で書いてこいと言われてビックリしました。再演から、その役なくなっちゃって幻の役になってるんだけどね。でも「あの役がないと淋しいね」なんてスタッフさんに言われるのはうれしいことですね。
イワヲ:あやさんは外部の仕事もいろいろやってますけど、流山児さん以外の演出で「私はこう変わった」とかありますか?
あや:T.P.Tの『燈台』でデビット・ルボーさんにお会いして、初めすごく緊張してね。何もできなくて、稽古場にいるだけで足が震える位。でもすごくいい現場で、いい役者さんに出会えて、それで私の中で変わったな、っていうのはあると思う。
イワヲ:変わった、というのはどういうことですか?
あや:自分の中で今まで狭い見方だったものが広がったというか。そういうのはこれからもあると思うけど、私の中では、この一つの作品と出会えたというのは、目の前がぱーんと広がったような気がしますね。自分というものへの決めつけがなくなったというか。あるじゃない、芝居はじめた頃の思いこみっていうか。それは大切なんだけどそれだけじゃやっていけない。たとえば成長、という言葉を使うなら、それは成長だったんじゃないかと。 (ここでイワヲくん自分が初めて裏方についた時の話をする)
あや:自分が作った小道具が初めて舞台に乗った時とかうれしいよね。(イワヲ・七緒 大きくうなずく)そうすると小道具を大切にするようになるし、あたり前のことなんだけど裏方さんがいるから自分が舞台に出られるとか。ウチはそういうの全部やるから覚えられるよね。
実はお嬢さまだった(?)
七緒:あやさんは芝居やる前は何してたんですか?
あや:音楽をやってました。小学校の時クラシック、チェロやってたんです。それでアコーディオンとギターとチェロのスリーピースのバンドやってました。
イワヲ・七緒:すげー!(感動してる)
七緒:なんで芝居を始めたんですか?
あや:バンドのスタッフとかしてたんですけど、どんどん周りが格好よくなっていくのね。私も何かやろうと思ったんだけど見つからないままだった。で、見たこともあまりないのに、いきなり芝居をはじめてしまったと。
七緒:流山児★事務所を選んだ理由は?
あや:親友のお母さんが塩野谷さんのファンだったの。それで流山児★事務所面白いよって言われてて、見もせずに入っちゃった。
七緒:けっこう適当ですねェ。
イワヲ:でも残っていくのはそういう人なんだよな。
七緒:そうそう。
イワヲ:じゃあ、唐突ですが好きな映画を教えて下さい。
あや:『ブルース・ブラザース』! ジョン・ベルーシが大好きなの! あとはね、『グレート・ブルー』『タクシードライバー』あとウォン・カーウェイも好き。それから『ロッキー・ホラーショウ』。2回目からはお祭りに行くみたいで楽しいよね。
七緒:あやさん実は仕切ってんじゃないですか?
あや:ちがうって。あ、『天空の城ラピュタ』! 元気なくなると今でもみるよ。ジョン・ベルーシは本当に好きでね、LAでユニバーサルスタジオに行った時、ブルース・ブラザースのショーをやっていてアレサ・フランクリンの店のシーンのとか、おんぼろパトカーがお客さんのうしろから出てきたり、もううれしかったー!!
七緒・イワヲ:LA……。あやさんけっこう海外行くんですか?
あや:父が日系二世でアメリカ人なので、アメリカはね。ハワイとか。水が好きで、海のそばへ行くと落ち着く。ハワイはね、「ただいま」って感じする。空港について、ハワイの匂いかぐとホッとする。
(ひとしきり海外話で盛り上がる)差し入れはやっぱりワインですよ、これ常識
七緒:話、戻しますね。7年間も流山児★事務所にいるのは何故なんでしょう?
あや:端的に言ってしまえば、やっぱり流山児さんが好きだから。あと先輩たちのエネルギーに触発される、というか引きつけられる。それは何なのかっていうと、魚さんやRomiさん、悪源太さん、塩野谷さん、そういう人たちのエネルギー。流山児さんは365日本当に芝居のことだけ考えてるじゃない。病気なのかな。言うじゃない、「芝居」という病って。
七緒:今、8年目、あと8年たったらどうなってるでしょうね?
あや:そうだねェ、芝居はやってるでしょうね。もっともっと色々なことやりたい。色々な人と出会いたい。もっと器の大きい人になっていたいですね。いや、横にじゃないよ。
イワヲ:一度横に広がると戻らないらしいですよ、ある年になると。
あや:外野うるさい。(注:『深海魚』のセリフです。さてどこで出てくるでしょうか。)
イワヲ:尊敬する役者さんなんかいますか?
あや:ジョン・ベルーシ! いや、たくさんいすぎて……あ、大竹しのぶさん、あと小林聡美さん、渡辺美佐子さん、佐藤オリエさん……。
七緒:じゃあ、これから一緒にやってみたい人は?
あや:ジョン・クローリーさん、あのT.P.Tで『マッチ売りの少女』演出した人ね。それから岩松了さん、ケラリーノ・サンドロビッチさん。ケラさんまた一緒に飲んで下さい。
イワヲ:あやさん、お酒はけっこう飲まれる方ですか。
あや:いえいえたしなむ程度です。
イワヲ・七緒:……。(うそやん……と思ってる二人)
七緒:お酒は何が好きですか?
あや:赤ワイン! とテキーラとラムと……。
イワヲ:あやさんファンのみなさん、赤ワインが好きだそうです(笑)
七緒:お花より赤ワインがいいですか?
あや:はい! 赤ワインですね!(即答。しかも断定。)
七緒:ということで差入れは赤ワインその他お酒でお願いします。
イワヲ:じゃあ、真面目な質問。さっきもちょっと出ましたけど、流山児さんについて。
あや:身体のこと、少しは考えてこれからもずーっとずーっと元気で芝居やって欲しいですね。お酒の飲みすぎにも注意して……。
七緒:あやさん一緒に飲んでるからそれは言えないんじゃ……。
あや:はい。私も気をつけます。
イワヲ:それでは最後に一言。
あや:えーと。昨年撮った映画がありまして、『石の花』という自主映画なんですが、TSUTAYAに出てるかもしれないので、みかけたら借りてやって下さい。「劇団小林」もよろしくね。(笑)そして『深海魚』是非みにきて下さい!