北京晩報 最終号 去年の流山児★事務所北京公演とほぼ同じ時期に少年王者館KUDANプロジェクトがやってきました。一行は予定通り到着したものの、手荷物で預けた舞台セットが税関でひっかかり、翌日までとりだせなかったそうです。去年の私たちはたまたま税関の人がチラシをみたことがあって、ノーチェックで通れましたが、毎回そうとは限りません。
翌日劇場にぶらぶら顔をだすと、事務所のシンプルなセットとは裏腹に材をこっちで発注して足場からつくる模様。しかも中国語話せる梁瀬さんとみみちゃんは空港へいっていてこの時点で話せるのは私だけ……? なんか、やばいかも。でも七緒は劇場の舞監だったスーチャンと日本語で意思疎通していたんだから(これほんとです。開演時間が遅れるのを伝えるのに七緒が「5分押しね。」っていうとスーチャンは「好!(了解!)」ってわかるの。)私にだってきっとできるはず! そう、ご飯の注文とか、買い物とか……。って、仕込みで使うボキャブラリーがないじゃんっ! なんか、ひじょ〜にやばいかも。
早速「平台はいつくるのか聞いてくれ。」と言われ聞くと、「今車が混んでるからもう少しかかる。」「何時頃になる?」再度きくと、「そうあせるな。」そう、予定通りに運ばないのが中国。結局手持ち無沙汰になり、一時休憩。お昼過ぎに平台を積んだトラックがやってきました。総勢で運び出そうとする我々に「私たちが運び出すからそうあせるな。」
前々から感じていたのですが、中国の仕事のやり方は良くも悪くも完全分担制。ここまでは自分の仕事、というのがはっきりしているのです。芝居にしても、役者は演技だけ、衣装や大道具、照明などはまた別のスタッフがやることで何でもやる我々の小劇場スタイルは定着していません。人口が多いからかな。
今度は材を発注すると、3時に到着する、と言っていた材は車がすごく混んでいたそうだから夜8時過ぎに到着。どこの山から伐採して来たのだろうか……。そんなことにめげず皆切れることなくほのぼのと連日深夜遅くまで舞台作りをしていました。これも人柄ならぬ劇団柄? うちなら間違いなく血をみていたことでしょう。お疲れ様でした。
芝居は小熊ヒデジさんと寺十吾さんの二人芝居『真夜中の弥次さん喜多さん』です。今回は字幕パネルを役者がだすようししていて、私が役者だったら逃亡したくなる位考えただけでも気が遠くなる恐ろしい作業をしていました。もちろん普通に字幕をつければ簡単なことだと思うのですが、字幕をつけると芝居より字幕に目がいってしまうし、言葉意外で感じる何かが生まれるかも、とアフタートークの時、天野さんがいっていました。私は去年シアターグリーンで観て以来、大好きな芝居の一つで、何度も何度も繰り返すのにいつの間にか劇終まで進んでいく展開がなんとも不思議で、そういえば、人生ってこんなもんだ〜。と思います。
それと特筆したいのは、『恋愛の犀』です。孟京輝演出の再演です。初演に引き続き若者に大人気でチケット買うのも大変でした。役者は皆よかったのですが特に主演の馬路が唄う歌が色っぽくてすてきでした。映像・舞台・照明もよく、音楽も生演奏で特に新鮮といった感はないのですが、笑いもあり、ストーリーの展開も追えて魅力的な芝居でした。後半大きな氷を砕いて中からリンゴがでてくるのですが、その時劇場がひんやりして馬路が壊れていく様が想像できぞくぞくしました。
350日にわたる研修もいよいよ終わりに近づいてきました。思へば遠くへきたものだ。
ご飯もおいしいし、まだまだ北京にいたい気持ち半分、そろそろ芝居がやりたくて早く事務所に戻りたい気持ち半分。今まで拙い晩報を読んでくださった皆さんどうもありがとうございました。
これからも劇場でお会いできることを楽しみにしております。
では、再見!付録 ***私の独断BEST3***
中国現代劇
1 恋愛の犀(国家話劇院)
2 思凡の後(戯劇学院演出科卒業公演)
3 茶館(北京人芸)
伝統劇
1 白蛇伝(梅花賞受賞者出演作品)
2 ThebesCity(北京河北梛子劇団)
3 Dang馬(戯曲学校発表会)映画
1 karaは一匹の犬
2 北京バイオリン
3 ミッシング・ガン三大事件
・SARSで学校閉鎖。
・流山児★事務所台風で飛行機欠航。
・宿舎の共同冷蔵庫に入れためんつゆ盗難事件。
北京晩報 10月号 9月11日は中秋節―お月見でした。8月末あたりから月餅が街中で販売され、お中元のような感覚でお世話になった人、友人たちに月餅を送ります。原料からして小麦粉と餡だから決して高価なものではないと思いきや豪勢な箱にいれられ、4個入り100元(1500円)〜800元位までこちらの物価からしたらかなり立派な値段です。今年は無糖餡が新発売。餡も果物ジャムとか、抹茶とか、多種類あります。私はオーソドックスなゴマ餡が好き。卵の黄身入りが多いのですが、日本人には不評です。あれで栗が入っていればいいのに〜。
我々は城内が一望できる景山公園に行きました。頂上までいくと心地よい風が吹いていて、しばらくそこでお月様が出るのを待ちました。『月より遠い場所、それは劇場!』ちょっと少女チックに言ってみたりして……。なんていっているうちに火星発見!なんとなく赤い気がする。主役のお月様も6時半すぎゆっくり登場。こんなじっくり月を眺めるのは何年ぶりかな。そして帰宅後月餅をもう一つ。うん。大満足。
そうそう、楽塾の杉山さん登場!です。大忙しのスケジュールの中、杉山太郎賞を受賞した李六乙演出の『mu桂英』を観劇後、一緒にビールを飲みました。他のみなさんが芝居の評論している隙間で智子さんと近況報告して楽しいひと時を過ごさせてもらいました。今更ながら太郎さんの中国演劇に関する熱意を知り、太郎さんからもっともっとお話をお伺いしたかったです。皆さんもし北京にくることがありましたら、梅欄芳記念館にお越し下さい。太郎さんが見られます。ね、智子さん。
『mu桂英』ですが、李六乙演出の新戯劇3部作の一つ。なんとそのひとつに観世榮夫先生も出演なさるとか。今までみた京劇と現代劇の合作のなかで一番うまく融合していたと思います。京劇ファンの観客が討論しているのが聞こえ(京劇を変える必要があるのかとか、変えたことだけで満足して中身が薄いとか)、賛否両論でしたが、海外ではきっと受け容れられる作品だと思います。李六乙本人が今の自分達の芝居は日本と比べて時代遅れだと言っていましたが、そうは思いませんでした。。北京。
北京の公園からの夕暮れの眺め 屋外劇?人形劇?町中で見かけた孫悟空?
北京晩報 9月号♪書を捨てよ!町へ出よう!どんどちゃか、どんどちゃか、ど〜どちゃかどんどん!
お祭り騒ぎ覚めやらぬ7月25日、再びやってきました中国。北京。『北京晩報〜!ガラガラ〜ッペ!(たんを吐く擬声語)』ニュースでは確か、たん吐きは罰金といっていたのに……。北京の中の懲りない人々。何はともあれ街中に活気が戻り、幸せを感じる今日この頃です。
昆劇の稽古も再開しました。先生の家に行くと、『ジー!ジー!』と何やら鳴き声が。そう、コオロギ合戦の季節到来です。時のたつのは早いものです。しかしこちらのコオロギはものすごく精力的。『俺は殺るぜ。アーイー、俺を買いな』と訴えているよう……。日本の『もう秋ですよ〜。』的な癒し系では決してありません。
まだ一部の劇場は閉鎖されたままですが、北劇場では第3回大学生演劇祭が開催されていました。芝居の出来はどうであれ、まず演劇大学以外のサークルが芝居をうてる機会ができた事が好!出来はどうであれ、です。
そうそうSARSを題材とした芝居、ミュージカル、映画、ドラマ、漫画等、続々と登場しています。怖いものみたさで一度行ってみようと思います。ミュージカルって、どんなのだろう……。5月に演る予定だった林兆華演出の京劇『張協状元』もありました。一部話劇を取り入れた京劇で、道化役が途中、素の姿でペットボトル片手に唄う唱に哀愁を感じました。年輪を重ねるってすてきですね。途中で照明がおちてしまい、真っ暗闇になるハプニングがあったのですが、楽隊はそれに動じず弾き続けていました。道化役がフォローして物語再開した様子は見事。でも京劇は人気がないのか半分以上空席だったのは残念です。
もう一つ面白かったのは『我的野蛮女友』韓国人気映画の舞台化です。中戯の卒業生の公演で映画も見たのですが舞台の方が断然笑えました。最後に天からバラが一輪、釣り糸を通して降りてくる仕掛けは、アトリエ公演『寿歌』の若杉さんが苦労して仕掛けた星のかけら(「ダイヤモンドや!」)がのろり、のろりと、つっかえながら天に昇っていく様子を思い起こさせ、思わず一人思い出し笑いをしてしまいました。
それでは再見!
窓際でひなたぼっこ?のお隣のペットのコオロギ 賑わいを取り戻した繁華街・王府井の夜店
北京晩報 4月号
北京に春がきました。今年は黄砂が少なく、柳の棉がふわふわと漂う(トトロのまっくろくろすけが白くなったようなイメージ。)のどかな日々が続いています。
いい季節がやっとめぐって来たのに私は4月28日一時帰国。北京市長の患者数隠ぺいが発覚した記者会見から一週間、『これは、やばい。』と感じたのは私だけではないでしょう。多くの留学生が帰国の準備を始めました。はじめは帰るなんて大げさ、と考えていた私も、帰国を決断し、外出するときは必ずマスク、帰ってきたらうがいに手洗いは習慣になりました。北京大学で、太平洋百貨で、日中友好病院で、本科生で、日本人で感染者がでたらしい……。噂はどんどん近づいてきて、精神的に疲れる日々。天気がいいのがよけい気分を滅入らせます。
市長に限らず、まずいことはまず隠そうという考えが主流だと思うのです。病院がWHOの視察から隠すためにSARS患者をバスにのせ市内を巡回していたとか、大学の本科で感染者がでたから寮をあわてて消毒したのだけど、これはあとで聞かされた話で、当初何も伝えられず30分以内に部屋を片付けて出て行ってといわれただけ。何の消毒液なのかもわからないことだらけ。
それに反してニュースをみると安全宣言をだしたとか、SARS感染者が治って看護婦たちから花束をもらって退院する姿をアピールしています。
中国のいいところはおおらか(いいかげんともいう。)なところなのに、街からは活気が消え、あんなに混んでいたバスも、公園で太極拳をする人も姿を消し、そして芝居も消え、大学の封鎖も始まりました。
自由のない生活。そしていつ終るかわからない不安。死の恐怖。同次元で考えてはいけないのかもしれませんが、ニュースで同時進行しているイラク戦争のことも考えずにはいられません。増してそれが人為的に行われる行為(戦争)はあってはならない事と思います。今現在もそんな事態に直面している人々に心からエールを送りたいです。
一日も早く北京があの何でもありで、私の常識を覆してくれる人たち(凍っている池に穴掘って泳いでるおじいちゃん、公園のベンチとりで毎朝私と争う80過ぎのおばあちゃん、一時帰国する朝、車まで追いかけてきて『魔法瓶、魔法瓶。』と私より魔法瓶の在り処を心配したアーイー)がいつものように生活できる日々が訪れることを願います。
北京にもどれる日まで北京晩報はしばし休刊。
それまで再見。
北京晩報 3月号 冬休み中ずっと寮にいるのもいたたまれず、短期語学班の人に混じり、西安旅行に行ってきました。車中2泊・現地2泊の4泊5日。
出発前に一人一袋ずつ食料(出前一丁だけど日本のとは絶対違う出前一丁、魚肉でなく豚肉ソーセージ、粉コーヒー、水、リンゴ、メロンパンと思いきやアンパン)をわたされ、ま、中身はどうであれ、遠足気分。車内は3段ベッド(中段がおすすめ)の寝台で、こぎれいでした。片道約13時間で西安に到着。西安の朝も北京と同様、薄ぼんやりとほこりがかっていました。
西安はかつて長安とよばれ、シルクロードの起点地、そして城壁で囲まれた街です。西安の一番有名な観光場所、兵馬傭では平均身長178センチという何とも理想的な兵士たちが並んでいました。もっとワイルドな場所にあるかと思いきや、広い体育館の中に整然と区切られ並んでいました。その博物館の外でミニ兵馬傭セットを売る人々が居たのですが、身長15センチ位の兵士3人と馬1匹のセット(埴輪みたい)で、また外人には高く売りつけるンだろうと思いきや『5元、5元(80円)』うそ?聞き間違いかと思い、振り向くと、今度は安くしてと言ってもいないのに『じゃ、4元、4元(65円)』。家内制手工業なのだろうか?いや、そこら辺に落ちてるのか?『よし。3元、3元(48円)』まだ何も言ってないのに。
楊貴妃の使ったお風呂がある清華池では門をくぐると黄色やピンクの花花が迎え入れてくれました。きれい〜と近づくと新芽が出始めている枝先に黄色やピンクの造花が。
碑林博物館では石に彫った文字(碑林)に墨をつけ版画の作業(パフォーマンス)をしていました。皆カメラを取り、仕上がるのを見守っていました。しかし途中で半紙を石に貼り付けたまま作業していた人ははしごから降りてしまいました。刷り上ったものを見せてくれるものとばかり思っていた我々は、いつはがすのか聞くと、『下班(仕事の終わる時間)だからおわり。』はい。ごもっとも。
この旅行に案内役が5人もいたのに車中では西安の電化製品は北京より安いなど広告を見て5人でワイワイ楽しそう。我々は持参した「地球の歩き方」で観光地の概要を知るのでした……。こうして中国人をあらためて実感した旅は終了しました。
今月は児童劇場で中戯の演劇科の卒業公演『禁じられた遊び』がありました。この作品は児童犯罪の話で以前過激すぎて上演禁止になったものだそう。男一人がパンツ一枚になって女友達を犯すシーンがあったのですが、そこではシリアスなシーンなのになぜか照れ笑いの様な冷やかしの様な笑いが……。役者たちはよかったし、台本もいいと思うのですが、私は演出科の芝居のほうが好き。フランス料理のフルコースと焼き魚定食の違いですか。たぶん。では再見!
これが噂の兵馬傭です。 こちらは楽しそうなガイドさんたちです
北京晩報 2月号
私の学校生活で切り離せないのがアーイーの存在です。アーイーとは1おばさん、2おばちゃん、3先生、4お手伝いさん(小学館中日辞典より)
留学生楼には6人のアーイー(お手伝いさん)がいます。私の部屋の向かいが共同炊事場で、そこにアーイーが終結します。どこの国でもおばちゃんは井戸端会議が好きで、朝方6時頃、アーイーの話声で目覚めるわけです。この冬休みはほとんどの留学生が帰国したり、旅行にいくので今やアーイー天国と化してる状態です。唯一帰国しないのは私ぐらいなもので、毎日どうして帰国しないのか?遊びにいかないの?とか質問攻めです。炊事場で自炊してると何つくってるの?とふたを開けて覗きこむは、水玉模様の下着がどうどうとほしてあるは、捨てたビンやサンダルはまちがいなくアーイーのものとなります。ゴミ袋も洗って洗濯機で脱水にかけ再利用。その洗濯機を私たちは使ってるのかと思うと・・・。一番のショッキングなことはトイレの便器モップでそのまま部屋を掃除すること。等等アーイーねたはつきません。
私の生活の中でふだんアーイーといえば4お手伝いさん、もしくは2おばちゃんの印象しかありませんでした。ある日一人でぶらぶら散歩をしていると小学生の女の子が『アーイー、アーイー』と後ろから呼ぶ声がしました。もちろん私は今まで『小姐(おねえさん)』としか呼ばれたことがありません。ところが今度は私の袖をつかんで『アーイー』と呼ぶではありませんかっ!私は思わず、『おばちゃんじゃありませんっ!!』(by星の王子様)と叫びそうになりましたが、ここは大人。おさえておさえて。『なあに?』とひきつった笑顔で答えました。単に時間が知りたかったようで時間を教えてやり、私に大きな衝撃を与えた彼女は早々と去っていきました。
翌日中国人にこの話をすると、子供が目上の人をアーイーと呼ぶのは当たり前だそう。
辞書にも見落としてたけど、太字でおばちゃんと書かれた横に細字で小さくお姉ちゃんとも書いてある。な〜んだ。
そんなアーイーですが、病院まで迎えにきてくれたり、とうもろこしや餃子をわけてくれたり、便器モップだけど、毎日廊下も掃除してくれるし、いいところもたくさんある愛すべきアーイーなのでした。首都劇場での『茶館』はみたかった演目なのでとても楽しみにしていました。期待通りのよい作品でした。舞台美術も奥行きが感じられ、以前の舞台では最後に茶館の主人が自殺するだろうな、という重々しい雰囲気で終ったのですが、今回は米軍が『茶館の主が首をつりました!』『好!』と軽快なテンポでおわり、逆に切なさを感じ、私は好きでした。
では、再見!例の便器モップです。 私の宿舎の2階担当アーイーです。
北京晩報 1月号
春節快楽!!新年は明けたのか分らないほど静まりかえっていた北京ですが、旧正月は違います。今年は2月1日が旧暦の元旦にあたります。街中赤一色に彩られ、活気付きます。北京市内では爆竹は禁止されていますが、それでも大晦日には花火や爆竹の音が夜遅くまで響いていました。そして年越しそばならぬ年越し餃子を食べながら、紅白ならぬ春節晩会を見るのが恒例行事だそうです。
私は31日の大晦日は縁日に行ってきました。
縁日ではたくさんの屋台が並び、輪投げ、射的、曲芸などがあり、賑わっていました。どこかノスタルジックな気分に浸りながら散策しました。その夜は餃子作りに挑戦しました。チャン・イーモウの『初恋のきた道』で少女ディ(チャン・ツィイー)がルオ先生の為に作ったきのこ餃子がめちゃくちゃおいしそうで、きのこ餃子を落としてしまうところは『ああっ〜』とせつなくなったものです。
こちらは焼餃子ではなく水餃子が主流です。大鍋にお湯をたっぷり入れ、つくった餃子を次々といれること約100個。(主食なので一人20個位食べます。)苦労した甲斐があって、なかなかおいしそうに出来上がりました。ところが、いざ食べるとき箸から餃子がすべりおちてしまい、『ああっ〜』とせつなくなり、ディの気持ちと一つになった気がしました。え? 違います? 来年の事務所の新年会には手作り水餃子をふるまいたいと思いますのでお楽しみに。
今月の芝居は秀作揃いでした。中央戯劇学院演出科の卒業公演『思凡之後』・・・演技科より演出科の方が個性があって面白いと感じたのは私だけでしょうか? 『上酸菜』・・・きわめて東京の芝居に近いことをしている芝居を発見した感じです。林兆華演出、国家話劇劇院の『故事新編』・・・ストーリーは難解でしたが、魯迅の小説の構成芝居で洗練されたものを見た感じです。北京大学の演劇サークルの人々が『絶対信号』の公演をしたらしいのですが、情報が遅く見逃してしまったのが残念です。
それでは再見!
日本のしめ縄飾りみたいなものなの? うまそうには見えないが、食べられそうである(笑)
北京晩報 12月号 流山児かぶき『盟三五大切』、いかがでした?
初演の『盟三五大切』では本多劇場の舞台袖で衣装早替を手伝い、最後のシーンで榎木さん、英介さん、塩野谷さん三様に紙ふぶきが舞う中立ちつくす姿が好きで「榎木さんステキ。英介さん美しい〜。あ、塩野谷さんのヅラがちょっと大きい・・・」などと思いながら堪能していました。その時も確か雪が降ったように記憶しているのですが、今回も降ったらしいですね。北京もここ4,5日連続で雪が降っています。
この寒い中、しかも年末年始に『日本昆劇の友社』公演があり、私も出演することになりました。来年から習おうと思って先生を紹介していただいたのですが、公演があるからでる?といわれ、無謀ながらも合同練習4回で舞台に立つことになりました。
昆劇、知ってます?私、恥かしながら、京劇と昆劇の違いが未だよくわからないのですが、狂言・能と歌舞伎の違い(昆劇が狂言・能、京劇が歌舞伎)なのだそうです。さらばわが愛『覇王別姫』の小豆子が『私は女』といわず、『男』といい、罰をかせられる場面がありますが、これは思凡という昆曲の唱です。レスリー・チャン演じる蝶衣が日本軍に踊る舞は牡丹亭といい、梅蘭芳が杜萌娘を演じた演目で有名な昆劇の一部です。
《私の出演した演目》
30日『長生殿・小宴』・・・楊貴妃が玄宗皇帝に酒をつがれて飲んで酔ってしまう話。(官女その4)
31日『鉄冠図・刺虎』・・・城をとられた姫の敵を討つため、費貞娥が姫に扮装して虎(李固)を刺す話。(官女その4)
1日『雷峰塔(白蛇伝)』・・・白蛇が人間と結婚して正体がばれ、人騒動あるが、最後は結ばれる話。(波その8)場所は湖広会館という孫文が国民党を結成した歴史がある伝統的な劇場です。北方昆曲劇院の役者たち(かなり男前!)と同じ舞台にたてて一緒に稽古もできたので、しかもメイクまでしてもらっちゃたので、ここしばらくずっとにやついています。6月には私も立ち回り中心の演目を1本演じる予定です。
それでは皆様よいお年を。再見!
環がメイクしているところなんて……。 お、お、お、それなりになっている。(^^;
シロ・ぽち・ジョン・そしてケロベロス、ごめん・・・。
食べました。あれ。その日は北京人芸小劇場にてBeseto演劇祭が開催されており、日本の三条会の『ひかりごけ』という芝居の公演がありました。武田秦淳の原作で北海道北端の小島で人肉を食べた船長の実話でとても面白かったのですが、これを観た後ではちょっと生々しいかと思いましたが、我々は「犬の会」を決行することにしました。
そこは劇場から北へ十分程歩いた故同(フウトン)の中にありました。
一行は席につき、小姐に「犬肉の料理。」と頼みました。
焼き犬28元(420円)
犬鍋 32元(480円)
犬汁 5元(75円)
犬の和え物8元(120円)
犬面 5元(75円)
肉は赤く、トロっとしていました。「う、こ、これは、生なんじゃないか?」と思わせる程でしたが、小姐はこういうものだと言い張りました。牛筋をもっと煮込んだ感じと表現したらいいでしょうか?にんにくがかなり入っていたので、臭みがあるのかもしれませんが、カモフラージュされてわかりません。私の頭の中で先ほどの芝居のシーンが蘇ります。「この人非人!」人肉を食べた人間の頭には緑色の輪がでるそうです。では犬肉を食べた人間は?もはや犬肉を食べてしまった人間にはみることはできず、食べていない人のみみることができるそうじゃ。話しは変わり、そのBeseto演劇祭ですが、中国・韓国・日本の3カ国を巡回公演していて、今年は北京にて公演がありました。情報が遅く、中国の覇王別姫をみのがしましたが、他はゲネプロと本番をみさせてもらいました。開場は北京人芸の本拠地、主都劇場と北京人芸小劇場(スズナリクラス)・児童劇場(本多クラス)で公演されました。私は小劇場で行われた三条会の『ひかりごけ』と韓国NOTTLE劇団の東方ハムレットが気に入りました。設定を現代やらアジアやらにシェークスピアをもってくることは多々あるのでこの種の芝居かと思っていたら、ハムレットと母親の心理的な苦痛と幼少時代の想い出をおりまぜながらの演出がとても心地よく軽快に進んで、私にとって新鮮でした。
それではまた来月、再見!
さる10月1日は国慶節といって、中国の建国記念日で1週間前後の休みがありました。
私はその朝、天安門に出かけました。多くの中国人が北京観光にこの時期やってくるそうで、北京人たちには「何でわざわざ混んでる時にいくの?」と言われましたが、13億人の人ごみを体験しようと意気揚々と出発しました。
しかし、その意気込みも天安門につくなり消え去りました。大晦日の明治神宮・オープンしたてのディズニーシー・K-1決勝戦そして花札伝記 in 花園神社。私の今まで体験したありとあらゆる人ごみを足しても足りないくらいのヒト。ひと。人。中国は広いです。何とか人ごみをかき分けて城門に登り記念写真をとって、ご飯を食べて、さあそろそろ帰ろうとしたその時、一緒に来た友達が痙攣を起こして倒れました。びっくりしました。こんな痙攣をみたのはセキーネさんの海でつってしまった足以来です。
人ごみの中更に一層人だかりができ、たくさんの人の助けを得て、何とか救急車を呼び、日本語の通じる病院にたどり着きました。しかしその日本語を話すスタッフが発した言葉は「あなた、友達、助けますか? 金、金。」というばかり。びっくりしました。こんな日本語を聞いたのはゴールドバーグ・マサオさんのカナダ人以来です。
どうやら薬買うか買わないか聞きたかったらしく友達も何とか無事宿舎にたどり着き、さあ、気を取り直して流山児★事務所の人々のお出迎えだ! と張り切ったら、あの台風。戦後最大だというのは本当だったのでしょうか?
でも私以上に皆は大変だったのです。ホント。お疲れ様でした。結局1日は欠航で2日にやってきました。でも、苦労してきたかいあって、ほんと大好評でしたよ。私もこの一月で20本の芝居をみましたがヒイキ目なしに一番面白かったと思います。
学院で行われた国際演劇祭は戯劇学院2本、日本2本、ロシア、イタリア、台湾の計7本の芝居をやりました。学院には、世田谷パブリック以上の広さの実験劇場とスズナリクラスの地下劇場、スペース早稲田クラスの黒箱子劇場があります。特筆すべきはイタリア、台湾、日本でしょうか。イタリアはフェリーニの「道」を思わせるような大男と道化の伝統即興実験劇でよかったです。台湾は国姓爺物語の設定を未来におきかえたもの。日本は宮本研作・『花一匁』。中国残留日本人孤児の母親(お遍路さん)が語る一人芝居。初日にアフタートークがあり、今の日本とのギャップに疑問を感じつつも、受け入れられていたようです。『人形の家』もアフータートークがあり、2時間近く話をしていたのですが、最後男と女が入れ替わるのが理解できないようでみんな質問していました。しかし、暗転や生演奏、衣装メイク、女優陣の個性的な演技はかなり新鮮な驚きがあったようです。来月も演劇祭があるようで、今年は北京は面白いです。
それではこの辺でおいとまさせていただきます。再見!
北京に来て1ヶ月が経ちました。
こんにちは。小森谷環です。北京では夕方になると自転車の籠に新聞を詰め込んで「ベイジン ワンパオ〜〜!」と声を張り上げて売る北京人を見かけます。(最近はカセットテープに声を吹き込んで売る所もありますが。)去年きた時にはこの言葉ですら聞き取れなかったのに今は「ああっ、聞こえる!」と言ったとても低レベルな事で感動しています。感動ついでに一部買い、早速芝居情報を集めようと思い立ちました。
果たしてこの一年間で芝居が打てるかどうかは疑問ですが、この街自体にアングラ魂をみた私は、私の常識外な事をしでかす中国人とできるだけ多く出会いたいなァと思っています。
もちろん芝居中心にお届けしますよ流山児さん。もちろん。
今月は中央戯劇学院(私のステイ先)で国際演劇祭が行われています。
それを是非お届けしたいのですが、それは来月に書くとして、先日老北京人に誘われて、四合院建築のなかでコオロギ合戦を観戦しました。それに皆100元、200元(日本円で1500円〜3000円)とこっちではびっくりする大金をかけてます。コオロギといえばラストエンペラーで登場しますが、こちらでは陶器の壷のなかにコオロギを大事にいれています。果たしてその結果は?
私がかけたコオロギはどうやら負けた模様。っていうかボラレタ?
どっちが勝ったのか分からない、小さすぎて。そうそう先週京劇の授業で青旦(女傑)のメイクをしてもらったので添付します。京劇のお話ももう少し勉強してから書きたいと思います。
それでは再見!
使用前 使用後(^ ^)